はじめに

 逮捕・勾留をされると、警察署内で身体拘束され、様々な点で不自由を強いられます。 

 このページでは、身体拘束中にどのような扱いを受けるのかという点と、一般の方がどうやって面会や差し入れをすることができるのかについて解説します。

身体拘束される警察署

 1 逮捕・勾留を行う施設

 石川県内で逮捕勾留がされる場合は、以下の施設などで身体拘束を受けます。

 以下のリンク先に「警察署付近の略図」がありますので、ご参照ください。

  金沢東警察署(TEL 076-253-0110)

  金沢中警察署(TEL 076-222-0110)

  金沢西警察署(TEL 076-266-0110)

  津幡警察署(TEL 076-289-0110)

  白山警察署(TEL 076-216-0110)

  小松警察署(TEL 0761-22-0110)

  輪島警察署(TEL 0768-22-0110)

  珠洲警察署(TEL 0768-82-0110)

  金沢刑務所(TEL 076-231-4291)

刑務所に入れられることもあるの?

 刑務所というと、裁判が終わり有罪判決を受けた人が服役するというイメージがありますが、裁判が始まる前や裁判中の人を拘束するために用いられることもあります。
 このように、裁判の結果がまだ決まっていないまま施設に拘束されている人のことを未決拘禁者といいます。

 2 どの施設に入れられるのかについて

 基本的には、事件を捜査する警察署の所在地にて身体拘束されます。

 もっとも、施設内に空きがない場合などでは近隣の施設にて拘束をする場合もあります。
 特に、女性を収容できる施設には限りがあり、石川県内では女性は津幡警察署や金沢刑務所に収容されるようです。

 また、共犯者のいる事件では、共犯者同士を同じ施設で拘束することはあまりなく、どちらか一方を近隣の施設に移送します。

 弁護士以外の人は、被疑者・被告人が、どの施設にいるのかを電話などで確認することはできません。
 そのため、担当している弁護人から聞き出すか、実際に施設に行って担当者から直接聞くしかありません。

面会の方法

 1 面会のルール

 弁護士以外の人の面会には、細かいルールが定められており、厳格に運用されています。

 そのため、あらかじめルールを知っておかないと「仕事を休んで会いに警察署に行ったのに会えなかった」ということが生じてしまうので要注意です

 面会をすることができるのは、平日のみです

 面会の受付をすることはできるのは、午前9時30分~11時30分、午後1時00分~4時30分となっています。そして、実際に面会ができるのは、午前10時00分からとなっています。
 この時間であっても、取調中であったり、捜査などのために外出している場合には面会をすることはできません。
 事前に電話予約をすることはできませんし、事前に捜査の予定などを聞くこともできません。
 施設に行ってみるまで会えるかどうかわからないというのが現状です。

 面会時間は15分のみです。

 面会には警察官が立ち会います。

 弁護士以外の人による面会は、被疑者・被告人の方につき1日あたり1回のみで、その日に別の人(例えば家族)が面会に来ていた場合には、他の人(例えば会社の人)が面会をすることはできません。
 そのため、面会を希望する人が複数いる場合には、誰が会いに行くのかを協議しておく必要があります。

 なお、一度に2人が面会をすることができます。

 その他、面会の細かいルールについては、各施設に事前に電話し、確認を取ることが重要です。

警察署にどうやって電話すればいい?

 警察署に電話をかけると受付の人が最初に出ます。この人は担当者ではないので、「留置管理課(りゅうちかんりか)に繋いでください」と言って繋げてもらいます。理由を聞かれたら「面会のことで聞きたいことがあるので。」などとお答えください。その後は留置管理課の担当者とお話しください。

 早朝や夜に電話をすると、当直につながってしまいます。留置管理課の担当者が不在だと言われた場合には、次の日の日中に再度お電話してください。

 2 面会で話すこと

 面会でどんなことを話せば良いのかわからないとおっしゃる方もおられます。

 基本的には話したいことを何でもお話しいただいて結構です。

 ただし、事件に関わることや、証拠隠し、逃亡等に関する事項については、立ち会いの警察官に制止される可能性があります。

 身体拘束をされている方は、不安でいっぱいです。

 たくさん顔を出して安心させてあげるのが一番かと思います。

差入れ

 身体拘束されている方は逮捕されたときに所持していた物しか施設に持ち込めません。

 また、所持していた物についても、事件の証拠として押収されてしまっている物は施設で利用することはできません。

 施設内では便せんなどの簡単な物品を購入することができますが、下着、パジャマ、コンタクトレンズ等の日用品が不足しがちですので、差入れをしていただけると喜ばれます。

 また、便せん、封筒、切手を差し入れることで、外にいる人と連絡を取ることが可能になります(但し、お手紙の内容は事前に警察官によって検閲されてしまいます)

 しかし、差入れについても面会の場合と同様に、様々なルールがあり、厳格に運用されています。

 差入れをすることができるものとできないものを簡単にまとめた表がこちらです。

差入れできるもの差入れできないもの
着衣類(ヒモ・ベルトがないもの)着衣類(ヒモ・ベルトがあるもの)
メガネ・コンタクトレンズタオル
本・雑誌・漫画食品(弁当・おやつ等、例外なし)
便せん・封筒・切手薬類(常備薬・サプリ等、例外なし)
写真タバコ
現金(3万円まで)ゲーム、ドライヤー等の電子機器

 自傷行為を防止する観点からヒモやベルトのある着衣類(下着・服・ズボン等)については、ヒモやベルトを抜いて差入れをするか、差入れをあきらめなければならないため、要注意です。
 差入れをする着衣についてはゴムの入っているものをおすすめしています。

 タオル類については大きさによって差入れできるものとできないものがありますので、事前に留置管理課に問い合わせてください。

 また、食品類や薬類など口に入れるものについては、例外なく全て禁止されています。
 そのため、必要な薬等については、施設に出入りしている医師か、外部の病院に通院をして処方してもらうことになります。

面会禁止

 薬物事件やオレオレ詐欺(いわゆる特殊詐欺)などの組織犯罪、重大犯罪等では、一般の方の面会や手紙のやりとりが禁止されてしまうことがあります。

 この場合、弁護士しか面会をすることができなくなってしまうのですが、裁判所に対して、全部または一部について面会禁止を解くように請求することができます。

 特に認められやすいのは、事件に関係していない親族(父・母、兄弟等)や、会社の人です。

 裁判所は、面会を求める理由や、面会を認めた場合の問題(証拠隠しや逃亡を図るのではないか)などを検討して、問題がないと判断をすれば、全部または一部も面会禁止を解きます。

 面会禁止が付されてしまった場合には、一刻も早く、弁護士に面会禁止を解除するように依頼をしてください。

 弁護士が面会禁止の解除を請求すれば、1日か2日以内に判断が出ます。

 なお、裁判所に提出する書類として、ご家族様などから一定の書面をいただく必要がございますので、ご協力をお願いします。