1 はじめに

 ご家族が亡くなると相続が開始されます。

 遺言がなければ原則として、相続人が全員で話し合って、法定相続分の割合に応じた財産を受け取ることになります。

 ところが、相続人が誰だかわからない場合、相続財産がどのくらいあるのかがわからない場合、相続人の誰かが亡くなった方の財産を食いつぶしている場合など、相続に関してトラブルが発生することは珍しくありません。

 当事務所はこうした問題に迅速・丁寧にご対応致します。

2 よくあるご質問

相続人が誰かがわかりません

弁護士がお調べします

 相続人を明らかにしなければ、遺産分割を行うことはできません。

 弁護士であれば、お亡くなりになった方の戸籍をさかのぼって取得することで、相続人を明らかにすることができます。

 数次相続(昔に亡くなった方の相続が完了する前に相続人の誰かが亡くなり別の相続が発生してしまうこと)など、複雑な事案ですと、戸籍を集めるだけでも大変ですから弁護士にご依頼いただくことをおすすめします。

 現在、一定の手続を取ることで、法務局から、法定相続人の関係図(「法定相続情報一覧図」といいます)を取得することができるようになりました(「法定相続情報証明制度」といいます。

 亡くなった方が生前にどのような財産を持っていたのかを調査する際には、金融機関などに対して、戸籍謄本の原本(少数ですが写しでよいところもあります)を送付する必要があります。調査対象が多い場合には、大量に戸籍謄本(1通あたり750円くらいかかります)を準備する必要があるため、法定相続情報一覧図を作成してからこれを関係機関に送付するという方法をとるのが便利です。


相続人のうち、連絡を取りたくない(取れない)人がいます

弁護士が対応致します。

 不仲であったり、疎遠であったりして、他の相続人の方と連絡を取りたくないという場合があります。

 遺産分割はすべての相続人が参加して行う必要がありますので、このような場合でも何とかして連絡を取る必要がございます。

 弁護士が間に入ることで、こうした方との交渉を円滑に進めることができます。

 なお、生死不明であったり、手を尽くしても相続人の方の所在を掴めない場合には、失踪宣告制度や不在者財産管理人制度等を用いることで、遺産分割協議を行うという方法もございます。
 この手続をご検討の場合には、弁護士にご相談ください。


借金が多いようなので相続をしたくありません

相続放棄を検討しましょう

 相続をすると、プラスの財産だけではなくマイナスの財産も引き継ぐことになります。

 そのため、亡くなった方がたくさんの借金を抱えていた場合では、その借金を引き継がないために、相続放棄という制度を利用することを検討します。

 相続放棄とは、はじめから相続人ではなかったという扱いにしてもらう制度です(民法939条)。

 ただし、亡くなったことを知った日から、3か月を経過してしまうと、相続放棄をすることができなくなってしまいます(民法915条本文)。

 しかし、この期間については、亡くなった方の財産を調査するため等の理由で、延ばすことができる場合もあります(民法915条但書き)。

 なお、相続人の誰かが相続放棄をすると、別の人が新たに相続人になってしまうことがあります。
 (例)亡くなった方の子どもの全員が相続放棄をした場合,亡くなった方の親などが次の相続人になります。

 そのため、家族の全員が相続で借金を負わないためには、全員が相続放棄をする必要があります。
 これをするには様々な戸籍謄本を集めるなどの手間が必要ですし、相続財産が残ってしまう場合には、相続財産管理人の選任手続をする必要もありますので、一度弁護士にご相談ください。


亡くなった方の財産を管理していた親族が、亡くなった方の財産を好き放題に使っていました。これを返してもらうことができますか?

返還してもらえる場合があります。

 亡くなった方が生前親族に自身の財産の管理を任せていることはよくあります。

 その親族の方が、勝手に亡くなった方の財産を使い込んでいたとすれば、これは問題です。

 法律上は、不当利得(正当な理由なく利益を得た場合にはこれを返さないといけない)(民法703条)などにあたるとして、使い込んだ財産の返還を求めることができる場合があります。

 もっとも、一般的に、このような使い込みをしたことを親族側が素直に認めることは少なく、多くの場合は裁判上の手続きによって請求することになります。

 このとき、親族が財産を使い込んだという事実については、返還を求める相続人側で主張・立証する必要があり、一定のハードルがあります。

 また、その使い込みをしていた親族が、亡くなった方の介護をしていた場合などでは、お金を引き出していたとしても単なる謝礼であったり贈与であると認定されるケースもあります。

 弁護士に委任いただければ、弁護士会を通じた証拠収集(金融機関との間の取引履歴の取得等)などが可能ですので、弁護士へご相談いただくことをおすすめします。


お葬式後に、疎遠にしていた親族から「相続のことで話をしたい」と言われました。どうすればよいでしょうか?

依頼をするかはともかく、一度弁護士にご相談ください。

 その親族が弁護士に依頼をしていて、その弁護士から連絡が来た場合には、こちらも弁護士を立てた方が良い場合が多いと思います。

 そうでない場合であっても、一度弁護士に相談に来ていただけますと、こちらにとって不利な結果にはならないかと思われます。

 相手から連絡が来た時点というだけでは、直ちにこちら側が弁護士に委任をしなければならないということにはならないこともありますので、「とりあえず弁護士の話を聞きに行く」という程度で構いません。

 ただ、間違った対応をしていれば、多額の借金を背負ってしまうことになったり(Q3参照)、不当に不利な内容での遺産分割をしてしまうことになってしまうため要注意です。